石川県 の 社会保険労務士 丹保から No.209
これまでは考えられなかった場所でクマの出没情報が相次ぎ、白山麓で企画していたイベントを中止しました。クマの生息数は増加傾向にあるそうで、ヒトの生活領域で活動する術を身に着けたクマが発生しているのかもしれません。カラスみたいに日常の暮らしの中にクマが目に入る未来は想像したくありません。
■目次 >>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
1 <<<<< ワンポイントクイズ
;労働時間を把握する手段
2 <<<<< 今月のお知らせ
;石川県社労士会令和5年度無料相談会
;石川中央労務第72回研究会
3 <<<<< 気になるニュース
;国税庁「法人税のあらまし」等を公表
;『しわ寄せ』防止キャンペーン月間
;11月は「テレワーク月間」です
;労働条件明示のルールが改正
;リスクアセスメント健診ガイドライン
;キャリアアップ(社保適用時処遇改善)
;扶養確認「年収(130万円)の壁」対応
;61.5%企業で人事や雇用の変更必要
;「50人の壁」とメンタルヘルス不調者
;退職代行サービスの利用率は2%
;気になる新規学卒就職者の離職状況
;年次有給休暇の取得が過去最高に
4 <<<<< 広報・リーフレット
;両立支援等助成金(介護離職防止支援コース)
;アルコール検知器を用いた酒気帯び確認
;障害者差別解消法改正
5 <<<<< お役立ちアンサー
■====== 1; ワンポイントクイズ ============
Q: 労働時間を把握する手段は?
A: (答えは巻末をご覧下さい)
■====== 2; 今月のお知らせ ============
見出しの赤い文字をクリックして関連資料をご覧ください
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●石川県社会保険労務士会令和 5 年度無料相談会
働く人も事業主の方も「職場の悩み」「雇用の疑問」を社労士に相談してみませんか。予約はいりませんので、お気軽にお越しください。電話での相談も対応いたします。
日時 令和5年12月1日(金) 10時〜17時30分
金沢会場 社労士会事務局及び 5 階会議室
小松会場 こまつドーム
能登会場 珠洲商工会議所
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●「選択制確定拠出年金」と「人との関係づくり」をテーマに第72回研究会
石川中央労務研究会第71回研究会のご案内
件 名 石川中央労務研究会第72回業務研究会
日 時 令和5年12月9日(土)13時30分〜16時30分ころ
場 所 白山市松任公民館(〒924−0871 白山市西新町170−1)
テーマ 「選択制確定拠出年金の魅力と課題」
「“Nizi Project”を基に人との関係づくりを考えてみよう」
定 員 14人程度まで(先着順)
参加費 無料(申し込みは必要です)
申 込 12月7日(木)までにお知らせ下さい
■====== 3; 気になるニュース ===========
見出しの赤い文字をクリックして関連資料をご覧ください
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★国税庁「令和5年版 法人税のあらましと申告の手引」等を公表
国税庁ホームページで「令和5年版法人税のあらましと申告の手引を掲載しました」等が公表されました。法人税・地方法人税に関する基本的事項を「法人税のあらましと申告の手引」に、法人税・地方法人税申告書の別表を作成する際の留意事項を「申告書作成上の留意点」に、中小企業者の判定方法を「中小企業者の判定等フロー」にそれぞれまとめられていますので、ご活用ください。各別表の記載の仕方については、各別表様式の記載要領のほか、手引の「申告書作成上の留意点」を参照してください。
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★11月は「『しわ寄せ』防止キャンペーン月間」です
厚生労働省は、中小企業庁および公正取引委員会と連携し、11月を「『しわ寄せ』防止キャンペーン月間」として、周知啓発ポスターの掲示、業所管省庁や都道府県、労使団体への協力依頼など、集中的な周知・啓発の取り組みを行います。時間外労働の上限規制をはじめとする、大企業の働き方改革の取り組みが、下請等中小事業者に対する、適正なコスト負担を伴わない短納期発注や発注内容の頻繁な変更などの「しわ寄せ」を生じさせている場合があります。また、工事の民間発注者による短い工期の設定や、荷主による長時間の恒常的な荷待ち等の取引慣行に伴う「しわ寄せ」も生じています。厚生労働省では、中小企業が働き方改革を進められるよう、今後もこのキャンペーンをはじめとするさまざまな取り組みを通じて、下請等中小事業者への「しわ寄せ」を生じさせない環境整備に努めていくとしています。
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★11月は「テレワーク月間です」
テレワーク月間実行委員会(内閣官房内閣人事局、内閣府地方創生推進室、デジタル庁、総務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省、観光庁、一般社団法人日本テレワーク協会、日本テレワーク学会)では、11月を「テレワーク月間」として、テレワークの普及促進に向けた取組を集中的に行います。また、厚生労働省では、テレワークの導入を促進するための企業向けセミナーを実施します。11月27日には、テレワーク月間を締めくくる「『働く、を変える』テレワークイベント」を開催します。このイベントでは、テレワークを活用することで労働者のワーク・ライフ・バランスの実現を図るとともに、他社の模範となる取組を行っている企業等への表彰等を行います。
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★令和6年4月から労働条件明示のルールが改正されます
厚生労働省では、令和6年4月1日から施行される「労働基準法施行規則及び労働時間等の設定の改善に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令(令和5年厚生労働省令第39号)」などによる改正事項のうち、「無期転換ルール・労働契約関係の明確化等」関係について、専用のページを設けて各種の資料・情報を紹介しています。この度、その専用のページ(令和6年4月から労働条件明示のルールが改正されます)の資料について、追加や更新が行われました。
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★リスクアセスメント対象物健康診断に関するガイドラインの策定
事業者による自律的な化学物質管理の一環として、労働安全衛生規則の改正により、令和6年4月1日から、
(1)リスクアセスメント対象物を製造し、又は取り扱う業務に常時従事する労働者に対し、リスクアセスメントの結果に基づき、関係労働者の意見を聴き、必要があると認めるときは、医師又は歯科医師が必要と認める項目について、医師等による健康診断を行い、その結果に基づき必要な措置を講じなければならないこと、
(2)リスクアセスメント対象物のうち、一定程度のばく露に抑えることにより、労働者に健康障害を生ずるおそれがない物として厚生労働大臣が定めるものを製造し、又は取り扱う業務に従事する労働者が、厚生労働大臣が定める濃度の基準を超えてリスクアセスメント対象物にばく露したおそれがあるときは、速やかに、医師等が必要と認める項目について、医師等による健康診断を行い、その結果に基づき必要な措置を講じなければならないことが事業者に義務付けられることになっています。
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★キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)手続を開始
令和5年9月下旬に決定された「年収の壁・支援強化パッケージ」において、「106万円の壁」に対応するため、「キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)」を創設することとしていましたが、令和5年10月20日の官報に、その根拠となる「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令(令和5年厚生労働省令第130号)」が公布されました(公布日施行〔令和5年10月1日にさかのぼって適用〕)。厚生労働省では、これを受けて、令和5年10月20日から、このキャリアアップ助成金の手続きを開始したということです。令和5年10月1日以降、事業主が新たに社会保険の適用を行った場合、労働者1人あたり最大50万円を助成するとしています。
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★今年度の被扶養者資格再確認における「年収(130万円)の壁」対応
健康保険の被扶養者は、法令で毎年一定の期日を定め確認することとされています。協会けんぽ加入事業者には、令和5年度分の書類が、令和5年10月下旬から11月上旬にかけて順次発送されています。提出期限までに、被扶養者について要件を満たしているかを確認してリストに結果を記入し、別居の被扶養者や海外に在住している被扶養者については同封の被扶養者現況申立書を記入し、確認書類とともに提出します。政府の「年収の壁・支援強化パッケージ」により、年収が130万円以上であっても一時的な収入増加である場合、その旨の事業主証明を添付することで迅速な被扶養者認定を可能とする方針が示されました。そのため、上記に該当することが確認できた場合は、被扶養者状況リストの「変更なし」にチェックをしたうえで、「一時的な収入変動」に係る事業主証明と併せて提出します。所得証明書等を提出する必要はありません。
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★「人事制度や雇用慣行を変える必要性がある」と感じる企業は61.5%
デジタルテクノロジーの発展や、消費者ニーズの多様化、また予期せぬパンデミックの発生等で、ビジネスを取り巻く環境は、とてつもないスピードで変化しています。株式会社リクルートが人事制度や人材の活用をテーマとしたアンケート調査を人事担当者向けに実施し、その結果が公表されました。調査結果のポイントとして、「事業戦略やビジネスモデルを変化させる必要性を感じている」「3年前と比較して人事管理や人材活用の難易度が高まったと感じている」「人事制度や雇用慣行を変える必要性を感じている」などの回答が目立っています。
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★「50人の壁」とメンタルヘルス不調者の増加
「50人の壁」とは社員数が50人を超えると発生する経営課題のことを指しています。マネジメントを行うために社長のほか複数の管理職が必要となり、人事制度も複雑化するので管理レベルも高まるタイミングです。また、社員数が増えることで、情報共有や意思疎通が難しくなるため、組織内のコミュニケーションの質が低下するともされています。この50人の壁と符合するように、メンタルヘルス不調者の割合が高まってくるようです。メンタルヘルス不調を防止するためには、定期健康診断の確実な実施、職場の喫煙対策、労働時間管理や仕事の進め方の見直しなどによる労働密度の適正化などが重要とされています。
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★退職代行サービスの利用率は2%〜『エン転職』アンケートより
「退職代行」についてエン・ジャパン株式会社が実施したアンケートの結果が公表されました。「退職代行」とは、労働者本人に代わって代行業者や弁護士が会社に退職の意思を伝えるサービスですが、72%が「知っている」と回答しました。「退職代行サービスを利用したことがありますか?」と伺うと、93%が「ない」と回答。利用経験のない方に理由を伺うと「退職意向は自分で会社に言うべきだと思うから」(44%)が最多でした。一方で、「ある」は全体の2%。利用の理由トップは「退職を言い出しにくかったから」(50%)で、特に20代の回答が目立ちました。
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★新規学卒就職者の離職状況〜令和2年3月卒業者
人手不足の中、新卒入社の社員など若手の離職率は気になるところです。厚生労働省は、令和2年3月卒業の新規学卒就職者の離職状況を取りまとめて公表しています。調査によれば、就職後3年以内の離職率は、新規高卒就職者が37.0%(前年度比1.1ポイント上昇)、新規大学卒就職者が32.3%(同0.8ポイント上昇)となっています。「新人・若手の早期離職に関する実態調査」によれば、入社3年目以下社員の退職理由は、「労働環境・条件がよくない」(25.0%)、「給与水準に満足できない」(18.4%)、「職場の人間関係がよくない、合わない」「上司と合わない」「希望する働き方ができない」(14.5%)が挙がっています。
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★「年収の壁」対策の助成金(社会保険適用時処遇改善コース)を新設
厚生労働省は、年収の壁・支援強化パッケージとして、キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)を新設し、2023年10月20日から手続きを開始しました。キャリアアップ計画書を作成した上で、要件とされる取組みを6か月間継続した後、2か月以内に申請をします。取り組みには、手当等支給メニュー、労働時間延長メニュー、併用メニューが設定されています。
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★「リスクアセスメント対象物健康診断に関するガイドライン」が策定されました
厚生労働省は、事業者、労働者、産業医、健康診断実施機関および健康診断の実施に関わる医師等に、リスクアセスメント対象物健康診断の趣旨・目的を正しく理解し、その適切な実施が図られるよう、基本的な考え方と留意すべき事項を示した「リスクアセスメント対象物健康診断に関するガイドライン」を策定し、公表しました。リスクアセスメント対象物健康診断」とは、事業者による自律的な化学物質管理の一環として、労働安全衛生規則の改正により設けられたものです(令和6年4月1日施行)。この健康診断は、リスクアセスメント対象物を製造し、または取り扱う業務に従事する労働者を対象とする新たな健康診断です。
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★12月は「職場のハラスメント撲滅月間」です
厚生労働省は、毎年12月を「職場のハラスメント撲滅月間」と定め、ハラスメントのない職場づくりを推進するため、集中的な広報・啓発活動を実施しています。ハラスメントとは、相手の意に反した言動等により相手に不快を与える嫌がらせ行為をいいます。性的な嫌がらせ行為であるセクシュアルハラスメント、職場での優位性をふりかざすパワーハラスメントのほか、妊娠や出産に関するマタニティハラスメント等、様々なハラスメントがあります。職場のハラスメントは、企業にとっても職場秩序の乱れや貴重な人材の損失、社会的評価にも悪影響を与えるなど大きな問題となりかねません。また、職場内でのハラスメントだけでなく就職活動中の学生などの求職者やインターンシップ、教育実習生などへのハラスメントなどにも積極的に取り組むことが望まれます。
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★年次有給休暇の取得が過去最高に
厚生労働省の令和5年「就労条件総合調査」結果によると、令和4年の年次有給休暇の付与日数の平均は17.6日(前年調査17.6日)、実際に取得した日数は10.9日(同10.3日)で、平均取得率は62.1%(前年比3.8ポイント増)と初めて6割を超え、昭和59年以降では過去最高となりました。産業別にみると郵便局や農業協同組合等の「複合サービス事業」が74.8%と最も高く、「宿泊、飲食サービス業」が 49.1%と最も低くなりました。政府は、「過労死等の防止のための対策に関する大綱」において、令和7年までに年次有給休暇取得率を70%以上とすることを目標に掲げています。
■====== 4; 広報・リーフレット ===========
見出しの赤い文字をクリックして関連資料をご覧ください
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◆両立支援等助成金(介護離職防止支援コース)
労働者に介護休業を取得させた場合または介護のための両立支援制度を利用させた場合に助成されます。
http://roamroom.sakura.ne.jp/sblo_files/roamroom/image/jyoseikin_2311_E4B8A1E7AB8BE694AFE68FB4E7AD89E58AA9E68890E98791EFBC88E4BB8BE8ADB7E99BA2E881B7E998B2E6ADA2E694AFE68FB4E382B3E383BCE382B9EFBC89.pdf
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◆アルコール検知器を用いた酒気帯び確認
令和5年12月から、安全運転管理者に対し、アルコール検知器を用いて運転者の酒気帯びの有無の確認を行うこと並びにその内容を記録して1年間保存すること及びアルコール検知器を常時有効に保持することを義務付ける規定が設けられました。
http://roamroom.sakura.ne.jp/sblo_files/roamroom/image/E9A3B2E98592E9818BE8BBA2E998B2E6ADA2.pdf
■====== 5; お役立ちアンサー ===========
従業員が実際に出社している場合には、1 日の労働時間数だけでなく、始業終業時刻も把握する必要があります。使用者には労働時間を適正に把握する責務があり、適正な把握とは単に1 日に何時間働いたかを把握するだけではなく、労働日ごとに始業時刻や終業時刻を確認・記録し、これを基に何時間働いたかを把握する必要があります。始業時刻・終業時刻を確認・記録する方法としては、使用者や労働時間管理を行うものが直接に労働時間を確認する方法や、タイムカード等により客観的な労働時間を記録し、必要に応じ残業命令書等の使用者側が把握している労働時間を算出する記録とを符合させることにより確認する方法などがあります。
前述のような方法によることなく自己申告制により行う場合には、労働者に対して、正しく記録し、適正に自己申告を行うことについて十分な説明を行うことや、自己申告による時間と実際の労働時間が合致しているか必要に応じて実態調査を行うこと、適正な申告を阻害する目的で時間外労働時間数の上限を設定するなどの措置を講じない等の措置をとる必要があります。タイムカードの打刻を忘れた場合でも、従業員が実際に出勤し、労働している限り、使用者はその従業員の実際の労働時間について把握する義務を免れることはできません。タイムカード打刻を忘れただけで従業員が実際に出勤している場合には、欠勤として扱うことはできません。ただし、打刻をしないことについて、就業規則上の服務規律違反として、懲戒処分を科すことや人事考課に反映させることは可能でしょう。
労働時間を把握する資料としてタイムカードや始業・終業時間を記録した書類、労働者自ら労働時間を記入した報告書、残業命令書及びその報告書などの労働時間に関する書類については、その書類の最後に記載した日から3年間の保存義務が課されますので注意しましょう。
石川県 の 社会保険労務士 丹保から No.209
posted by 丹保社労士事務所 at 2023年11月20日
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