石川県 の 社会保険労務士 丹保から No.210
北陸新幹線の金沢敦賀間開通まで3か月足らずになりました。サンダーバード乗り納めと思い小松から京都まで往復すると、乗り換えのない2時間弱の乗車時間は、弁当を食って居眠りできる居心地のいい移動です。3月からは敦賀乗換でも時間が短縮されますが料金アップも間違いありません。お金と時間の使い方に選択肢は多くないようです。
■目次 >>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
1 <<<<< ワンポイントクイズ
;シフト制パートの年次有給休暇
2 <<<<< 今月のお知らせ
;社労士法55周年記念セミナー
;就労支援フォーラム
3 <<<<< 気になるニュース
;親子や婚姻の確認に戸籍謄抄本が不要に
;“つながらない権利”で連絡拒否72.6%
;介護離職支援制度利用の現状と対策
;価格交渉促進月間のフォローアップ調査結果
;旅館業法の改正でカスハラは宿泊拒否
;改正労基則等に係る裁量労働制に関するQ&A
;性的マイノリティ理解増進に向けた取組み
;産業雇用安定助成金「連携人材確保コース」
;賃金引上げ等の実態に関する調査
;産業雇用、両立支援等の改正決定
;国税庁「電子取引データの保存方法」
;国税庁「源泉徴収票はe−Taxで!」
4 <<<<< 広報・リーフレット
;「人材開発支援助成金」説明会
;困難な問題を抱える女性への支援
;冬季の省エネ節電メニュー
5 <<<<< お役立ちアンサー
■====== 1; ワンポイントクイズ ===========
Q:シフト制のパートタイマーの年次有給休暇
A: (答えは巻末をご覧下さい)
■====== 2; 今月のお知らせ ============
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●社労士法55周年記念セミナー
社会保険労務士法制定55周年にあたり、社会保険労務士法制度の発展および周知に努めるため記念セミナーが行われます。
日時:令和6年2月9日13時30分〜
会場:金沢ニューグランドホテル
会費:無料
演題:人と企業の価値を高めるヒント
講師:大久保寛司(人と経営研究所代表)
●就労支援フォーラム
個々人が自分らしく働ける地域共生社会の構築に向けて、福祉・医療・企業の連携を強化し、共に障害者就労支援体制を築くことを目指すものです。オンライン参加50名、申込締切は1月10日です。
日時:令和6年1月19日13時30分〜
会場:オンライン
■====== 3; 気になるニュース ===========
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★親子関係や婚姻関係等を確認する行政手続で戸籍謄抄本が不要に
令和元年成立の改正戸籍法には、本籍地の市区町村でなければ戸籍謄本を取得できない等の不便を解消するための新システム構築等が盛り込まれていましたが、いよいよ新システムが完成し、令和6年3月から次の3点が変わります。
○行政手続における戸籍謄抄本の添付省略が可能に
○戸籍の届出における戸籍謄抄本の添付省略が可能に
○本籍地以外での戸籍謄本発行が可能に
★“つながらない権利”で連絡拒否したい人は72.6%
テレワークや副業などの広まりから働き方が柔軟になった一方で、勤務時間とプライベート時間の区別がつけづらくなってきています。勤務時間外に仕事上のメールや電話への対応を拒否できる権利、いわゆる「つながらない権利」は、日本では法制化されていません。法制化されたとしても、業種によっては、特殊性や緊急性によって、権利を十分に行使できない可能性もあります。また、拒否することによる勤務評価やキャリア形成への悪影響を心配する労働者もいます。
★介護離職、支援制度利用の現状と対策の必要性
東京商工リサーチが行った「介護離職に関するアンケート」の結果によると、2023年8月までの1年間に介護離職が発生した企業は10.1%あったそうです。離職してしまった従業員の属性は、正社員が65.3%を占めています。一般的には、50歳代から親の介護を担う必要が高まる傾向にあります。つまり、働き盛りの中堅以上の従業員が、介護のために離職してしまう可能性が高まるということです。2024年の通常国会で、育児・介護休業法の改正が予定されています。従業員への介護に関する情報提供や制度選択の意向確認の義務化などが検討されているほか、休業制度の利用を促すための研修や相談窓口の設置を求めることも議論されるようです。
★価格交渉促進月間のフォローアップ調査結果(速報版)公表
中小企業庁では、毎年3月と9月の「価格交渉促進月間」に合わせ、受注企業が、実際にどの程度価格交渉・価格転嫁できたかを把握するための調査を実施しています。2023年9月の価格交渉促進月間における中小企業・小規模事業者の価格転嫁・価格交渉に関する調査結果が公表されました。全体的な傾向として、価格転嫁・価格交渉ともに「コストが上昇していないため価格転嫁は不要である」旨の回答の割合が約2倍に増加し、「交渉を申し入れ交渉が行われた」企業の割合が約2倍に増加、価格交渉しやすい雰囲気が徐々に醸成され、価格転嫁の裾野も広がりつつあります。
★旅館業法が改正されています〜カスハラは宿泊拒否も
旅館業の営業者は、一定の場合を除き宿泊しようとする者の宿泊を拒んではならないとされています。しかし、新型コロナウイルス感染症の流行期において、1.宿泊者に対して感染防止対策への実効的な協力の求めを行うことができない、2.いわゆる迷惑客について営業者が無制限に対応を強いられた場合には本来提供すべきサービスが提供できない、などという営業者からの意見が国に寄せられました。こうした情勢の変化に対応して、旅館業法等の一部を改正する法律が成立し令和5年12月に施行されました。注目したいのが「特定要求行為が行われたとき」で、カスタマハラスメントに該当する行為等を指し、宿泊者もサービス提供者も誰もが気持ちよく過ごせるよう心がけが求められます。
★令和5年改正労基則等に係る裁量労働制Q&A(追補版)が作成されました
厚生労働省は、今年8月に作成した裁量労働制に関するQ&Aについて、追補版を作成しました。追加された内容からいくつか抜粋します。
○労働者の自己申告による労働時間の状況の把握は可能
○事前に協定または決議し制度を適用しない期間後に再適用することは可能
○評価制度および賃金制度の運用状況の説明は概要資料等の開示を想定
★性的マイノリティに関する理解増進に向けた厚生労働省の取組み
令和5年6月に「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」が施行されました。この法律は、性的指向およびジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策の推進に関し、基本理念を定め、国および地方公共団体の役割等を明らかにするとともに、基本計画の策定その他の必要な事項を定めることにより、性的指向およびジェンダーアイデンティティの多様性を受け入れる精神を涵養し、性的指向およびジェンダーアイデンティティの多様性に寛容な社会の実現に資することを目的とするものです。これを受け、厚生労働省においても、性的マイノリティに関する理解促進に向けた取組みに関するホームページを開設しています。
★産業雇用安定助成金に「産業連携人材確保等支援コース」が創設されました
厚生労働省は11月29日、産業雇用安定助成金に「産業連携人材確保等支援コース」を創設しました。景気変動や産業構造の変化その他によって事業活動の急激な縮小を余儀なくされた事業主が、生産性向上の取組みを行うために必要な人材を雇い入れた際に助成金を支給するもので、生産性向上に資する取組み等に必要な新たな人材を雇い入れた場合に、その労働者の賃金の一部に相当する額を定額で助成します。助成対象期間は、対象労働者の雇入れに係る日から起算して1年間です。
★賃金改定率が過去最高に〜厚生労働省実態調査から
厚生労働省の令和5年「賃金引上げ等の実態に関する調査」結果によると、1人当たりの平均賃金を引き上げた、または引き上げる企業の割合は89.1%(前年同比3.4ポイント増)、1人当たりの平均賃金の引上げ額は9,437円(同3,903円増)となりました。平均賃金の引上げ率は3.2%(同1.3ポイント増)で、平成11年以降で最も高い数値となりました。産業別にみると、平均賃金を引き上げた、または引き上げる企業の割合は、「建設業」が100.0%で最も高く、次いで「製造業」が97.7%、「電気・ガス・熱供給・水道業」が92.9%となっています。賃金の改定の決定に当たり最も重視した要素の割合をみると、「企業の業績」が36.0%で最も多く、次いで「労働力の確保・定着」が16.1%、「雇用の維持」が11.6%となっています。
★産業雇用、キャリアアップ、両立支援等、助成金の改正決定
令和5年度の補正予算が成立し、「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令(令和5年厚生労働省令第146号)」が公布されました。これにより、「産業雇用安定助成金」と「キャリアアップ助成金」の助成金については、制度の新設や見直し等が行われることが決定しました。この改正省令は、公布日(「両立支援等助成金」については令和6年1月1日)から施行されます。
★国税庁「令和6年1月からの電子取引データの保存方法」を掲載
令和5年度税制改正による電子帳簿等保存制度の見直しにより、令和6年1月からは、申告所得税・法人税に関して帳簿・書類の保存義務が課されている者は、注文書・契約書・送り状・領収書・見積書・請求書などに相当する電子データをやりとりした場合には、その電子データ(電子取引データ)を保存しなければならないこととされます。施行期日が迫るなか、そのために必要な準備を分かりやすく説明した資料が、国税庁から公表されました。準備が間に合わない場合の対応についても説明されています。
★国税庁「給与所得の源泉徴収票はe−Taxで!」を公表
国税庁ホームページで「「給与所得の源泉徴収票」はe−Taxで!」が公表されました。これは事業主が給与所得の源泉徴収票をe-Taxで提出することで、従業員が、所得税の確定申告書を作成する際、給与所得の情報が自動で入力されるようになるものです。令和6年1月以降に提出する給与所得の源泉徴収票(令和5年分以後の年分)が対象です。従業員が令和6年2月上旬以降に国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」で確定申告書を作成する際にご利用になれます。
■====== 4; 広報・リーフレット ===========
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◆「人材開発支援助成金」説明会
人材開発支援助成金は、事業主等が雇用する労働者に対して計画に沿って訓練を実施した場合や、教育訓練休暇等の制度を導入しその制度を労働者に適用した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成する制度です。
日時:12月18日 14時〜15時30分
会場:オンライン(ZOOM)
会費:無料
◆困難な問題を抱える女性への支援
悪質ホストクラブ等の困難な問題を抱える若年女性に対する支援の必要性が増しています。これまで婦人保護事業として支援が行われてきましたが、借金の返済、ホストの追跡、居住先等、若年女性が抱える問題は多様化・複雑化・複合化しており、また、昨今の新型コロナウイルス感染症による影響を受けて、支援を必要とする女性は増加しています。
◆冬季の省エネ節電メニュー
今冬の電力需給は安定供給に最低限必要な予備率3%以上を確保しているものの、発電所のトラブル等によっては厳しい状況となる可能性があるといわれ、経済活動に支障のない範囲において省エネ・節電に取り組むよう呼びかけられています。
■====== 5; お役立ちアンサー ===========
シフト制のパートタイマーの年次有給休暇
従業員の「年次有給休暇が取得できない」ことに対する不満は根強いものがあり、実際に年次有給休暇を取得することが困難な状況を放置しておくと従業員の不満が大きくなり、定着率の低下やその他のトラブルの発生につながるリスクがあります。本来、年次有給休暇の取得については、従業員が年次有給休暇の時季を指定して使用者にその旨を通告すれば足り、それ以上の手続きは不要とされていますので、使用者の時季変更権の行使は限定的にしか認められません。しかしながら、人員不足の中で業務運営を行わなければならない現実もあるため、できるだけ有給休暇を取得しやすく、また取得させやすい仕組みづくりを行うことが必要です。回答の例の他にも、年次有給休暇の計画的付与を個人別に行うこと等の方策を講じることにより、有給休暇の取得率の向上を図ることができます。使用者側が「年次有給休暇が取れなくて当たり前」という考え方から「有給休暇が取れて当たり前」という考え方の転換が必要です。なお、年次有給休暇が10日以上付与されている従業員については、5日分を必ず取得させなければならないこととなっています。
石川県 の 社会保険労務士 丹保から No.210
posted by 丹保社労士事務所 at 2023年12月21日
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