石川県 の 社会保険労務士 丹保から No.214
見ごろが長かった桜も葉桜になったところに黄砂が飛んできて、これはこれで春の風景と思えば季節の変わり目を楽しむ事が出来そうです。南加賀の観光地は連休に向けて予約で埋まっていて、この先、サービス業も製造業も人出不足が深刻な課題とされています。
■目次 >>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
1 <<<<< ワンポイントクイズ
;退職直前の年次有給休暇請求
2 <<<<< 今月のお知らせ
;北前船資料館橋立集落散策会
3 <<<<< 気になるニュース
;4月からの求人票記載に関するポイント
;「求職者等への職場情報提供の手引」のポイント
;不妊治療と仕事の両立についての調査結果
;健康に配慮した飲酒に関するガイドライン
;仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドライン
;食事の現物給与の価格が変更されました
;在宅勤務手当を割増賃金の算定基礎から除外する場合
;「令和5年中小企業実態基本調査(速報)」公表
;障害者雇用者数が初の100万人超え
;年金財政検証の経済前提について議論
;2024年度「地域活性化雇用創造プロジェクト」
;特定技能制度の対象として自動車運送業など4分野を追加
;2024年度の雇用関係助成金等パンフレットを公表
;大学生の企業選択のポイントは「安定している会社」
;提言「高齢社員のさらなる活躍推進に向けて」を発表
;育児休業給付金の期間延長手続きを厳格化
;2022年度の派遣労働者数2.6%増加
;「DX支援ガイダンス」を策定
;子どもを産み育てたいと思える理想的な労働時間
;厚生労働省関係の主な制度変更について
;定額減税特設サイト「年末調整計算シート」などを掲載
;「デジタルガバナンス・コード実践の手引2.1」を公表
;育介法等の改正法案、国会に提出
;「令和6年分所得税の定額減税Q&A」を更新
;「両立支援」と「人材確保」の助成金見直し案
4 <<<<< 広報・リーフレット
;キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)
;不妊治療と仕事との両立ハンドブック
5 <<<<< お役立ちアンサー
■====== 1; ワンポイントクイズ ===========
Q:退職直前の年次有給休暇請求への対応
A: (答えは巻末をご覧下さい)
■====== 2; 今月のお知らせ ============
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●北前船資料館橋立集落散策会
藩政期から明治中期頃まで瀬戸内、日本海、北海道を舞台に活躍した海上の総合商社「北前船」により巨万の富を築いた船主を多く送り出した橋立の町並みを散策します。
件 名 石川中央労務研究会スピンアウト企画 「北前船資料館橋立集落散策会」
日 時 令和6年4月20日(土)13時00分〜15時30分
場 所 (集合13時00分:北前船の里資料館駐車場)
会 費 高校生以上500円〜傷害保険等は各自で加入して下さい
申 込 4月18日(木)迄にご連絡ください。
■====== 3; 気になるニュース ============
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★4月からの求人票記載に関するポイント
4月からの改正で、ハローワークの求人票に記載する労働条件に「従事すべき業務の変更の範囲」「就業場所の変更の範囲」「有期労働契約を更新する場合の基準」の3つが追加されています。
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★「求職者等への職場情報提供の手引」のポイント
厚生労働省の「求職者等への職場情報提供に当たっての手引」が策定・公表されました。採用のミスマッチを防いで、求職者等が求める情報と、企業が情報提供にあたって注意すべき点を確認できます。中小企業においては企業情報を求職者等に提供するウェブサイト「しょくばらぼ」の活用を推進しています。より少ない作業負担で求職者等に対する情報提供ができます。
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★不妊治療と仕事の両立についての調査結果から
人手不足が深刻化していく中、社員の離職はできるだけ避けたいものです。各社員の離職の理由は様々ですが、晩婚・晩産化の傾向も踏まえると、今後は不妊治療を理由とした離職も増えていくことが考えられます。不妊治療をしたことがあるまたは近い将来予定していると答えた人の割合は14.5%、不妊治療をしたことがあると答えた人のうち、不妊治療と仕事の両立ができずに仕事を辞めた人は10.9%に上っています。
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★健康に配慮した飲酒に関するガイドラインが公表されました
飲酒による身体等への影響には個人差があります。そのため、飲酒の際にはそれぞれの状況に応じた適切な飲酒量・飲酒行動を本人が判断し、不適切な飲酒によるリスクを抑えていかなければなりません。そこで厚生労働省は、国内初となる「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」を作成しました。考慮すべき飲酒量(純アルコール量)や配慮のある飲酒の仕方、飲酒の際に留意してほしい事項(避けるべき飲酒等)を示すことで、飲酒や飲酒後の行動の判断等に資することを目指すとしています。
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★「仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドライン」公表
わが国においては超高齢化が進行し、社会・経済の主たる担い手である生産年齢人口が減少しています。そうしたなか、仕事に就きながら家族の介護にも従事する、いわゆる「ビジネスケアラー」の問題が顕在化・深刻化しています。従業員の仕事と介護の両立が困難になると、生産性の低下や介護離職につながります。経済産業省は「全ての企業の協力が必要」とし、企業経営層を対象に仕事と介護の両立支援の意義や進め方などをまとめたガイドラインを公表しました。
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★食事の現物給与の価格が変更されました
給与は金銭で支給されるのが一般的ですが、住宅(社宅や寮など)の貸与、食事、自社製品、通勤定期券などで支給することがあります。この場合、現物給与といいます。現物給与で支給するものがある場合は、その現物を通貨に換算し、金銭と合算して標準報酬月額の決定を行いますが、健康保険、船員保険、厚生年金保険および労働保険において現物給与の価額は厚生労働大臣が定めることとされています。
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★在宅勤務手当を割増賃金の算定基礎から除外する場合
割増賃金は1時間当たりの賃金を基礎としてそれに割増率を乗じることにより算定されますが、基礎となる賃金に算入しない賃金として家族手当や通勤手当などが法律に定められています。いわゆる在宅勤務手当については、一般的に、在宅勤務手当が労働基準法上の賃金に該当する場合には、割増賃金の基礎となる賃金に算入されます。ただし、在宅勤務手当が事業経営のために必要な実費を弁償するものとして支給されていると整理される場合には、当該在宅勤務手当は賃金に該当せず、割増賃金の基礎となる賃金への算入は要しません。今回の通達によれば、在宅勤務手当が実費弁償として扱われるためには、当該在宅勤務手当は、労働者が実際に負担した費用のうち業務のために使用した金額を特定し、当該金額を精算するものであることが外形上明らかである必要があります。
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★「令和5年中小企業実態基本調査(速報)」公表
中小企業庁は「令和5年中小企業実態基本調査(令和4年度決算実績)」の速報を公表しました。この調査は中小企業の財務情報、経営情報などの把握を目的に、業種横断的な実態調査として毎年行っているもので、今回は20回目となります。「1企業当たりの売上高・経常利益・従業者数はいずれも増加」「設備投資を行った法人企業はわずかに減少、新規リース契約を行った法人企業は微増」「中小企業の社長の就任経緯は創業者・親族内での承継の割合が高い」などとまとめられています。
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★障害者雇用者数が初の100万人超え〜厚生労働省調査
厚生労働省は、「令和5年度障害者雇用実態調査」の結果を公表しました。この調査は、企業における障害者雇用の実態の把握と今後の障害者雇用施策の検討や立案に役立てることを目的に、5年ごとに実施しています。従業員規模5人以上の事業所に雇用されている障害者数は110.7万人で、職業別にみると、身体障害者と精神障害者は事務的職業が最も多く、知的障害者と発達障害者はサービスの職業が最も多くなっています。障害者を雇用する際の課題として、「会社内に適当な仕事があるか」という項目が最も多くなっています。また、雇用している障害者への配慮事項として、「休暇を取得しやすくする、勤務中の休暇を認める等の休養への配慮」(身体障害者、発達障害者)、「能力が発揮できる仕事への配置」(知的障害者)、「短時間勤務等勤務時間の配慮」(精神障害者)と回答しています。
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★年金財政検証の経済前提について議論
厚生労働省は12日、社保審年金部会「年金財政における経済前提に関する専門委員会」を開催し、財政検証の経済前提について議論しました。厚生年金・国民年金においては、少なくとも5年に一度、いわゆる財政検証を行うこととされています。12日の会議では、令和6年財政検証に用いる経済前提についての検討結果の報告案を提示。シナリオとして「成長実現ケース」「長期安定ケース」「現状投影ケース」「一人当たりゼロ成長ケース」の4つを設定し、物価上昇率、賃金上昇率、運用利回りの長期の経済前提等を示しています。
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★2024年度「地域活性化雇用創造プロジェクト」9地域を採択
厚生労働省は「地域活性化雇用創造プロジェクト」の2024年度の採択地域を公表しました。今回採択されたのは、宮城県、秋田県、山形県、埼玉県、石川県、滋賀県、兵庫県、山口県、熊本県の9地域で、このプロジェクトは、地域における良質な雇用の実現を目的として、都道府県が提案した事業について、第三者委員会の審査を経て事業を採択し、都道府県による当該事業の実施に要する経費について、最大3年間補助するものです。
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★特定技能制度の対象として自動車運送業など4分野を追加
政府は3月29日の閣議において、人材を確保することが困難な産業で外国人労働者を受け入れることができる特定技能制度の産業分野として、既存の12分野に自動車運送業、鉄道、林業、木材産業の4分野を追加し16分野とすることを決定しました。現行分野のうち、「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野」は、業務区分を追加したうえで「工業製品製造業分野」に名称が変更されます。
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★2024年度の雇用関係助成金等パンフレットを公表
厚生労働省は、2024年度「雇用・労働分野の助成金のご案内」(簡略版)を公表しました。雇用の安定、職場環境の改善、仕事と家庭の両立支援、従業員の能力向上などに関する「雇用関係助成金」と、生産性向上等による賃金、労働時間の改善や安全衛生の確保・向上の取り組み等や退職金制度確立支援に関する「労働条件等関係助成金」に分けて紹介しています。
▽雇用関係助成金ごとのパンフレット(詳細版)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/000763045.html
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★大学生の企業選択のポイント、6年連続で「安定している会社」
マイナビは「2025年卒大学生就職意識調査」を発表しました。25年卒の大学生・大学院生に企業志向について聞いたところ、大手企業志向は前年比4.8ポイント増加の53.7%で2年ぶりに半数を超え、中堅・中小企業志向は同4.2ポイント減の42.9%でした。企業選択のポイント(2項目まで選択)は、「安定している会社」が同1.1ポイント増の49.9%で6年連続の最多、「給料の良い会社」も3年連続で増加し同2.2ポイント増の23.6%でした。行きたくない会社(2項目まで選択)は、「ノルマのきつそうな会社」が38.9%(同0.7ポイント増)で最多、次いで「転勤の多い会社」30.3%(同0.7ポイント増)となっています。
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★提言「高齢社員のさらなる活躍推進に向けて」を発表
経団連は、提言「高齢社員のさらなる活躍推進に向けて」を発表しました。企業における高齢社員の活躍は深刻化している労働力問題への対応の鍵であり、高齢社員のエンゲージメント向上を通じパフォーマンスを高めることはイノベーション創出や企業の生産性の改善・向上にもつながりますが、高齢社員の職務・役割と賃金水準の乖離などの課題もあるとし、高齢者雇用の現状と課題、課題解決への対応と、企業の事例を掲載しています。政府に対しては、現行の取り組みの強化充実や、制度支援策の周知を求めています。今後の高齢者雇用制度について、現在は「雇用継続制度」が大勢ですが、「定年年齢の引上げ」や「定年廃止」も視野に入れ、人事・賃金制度の見直しを検討する企業が増加の見込みとし、高齢社員にとどまらず、自社に最適な「自社型雇用システム」確立の一環として検討していくことが望ましい、としています。
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★育児休業給付金の期間延長手続きを厳格化
厚生労働省は、育児休業給付金の延長支給の申請について、保育所入所の意思がないのに受給期間延長のために入所申込みをする行為を防ぐため、本人記載の申告書と保育所等の利用申込書の写しの提出を求めることとしました。これらにより、合理的理由なく自宅又は勤務先から離れた保育所への申込みをしていないか、申込みに当たり入所保留を希望していないかを確認し、延長の適否をハローワークが判断することになります。子が1歳又は1歳6カ月に達する日(「パパ・ママ育休プラス」により、育児休業終了予定日が子の1歳に達する日後である場合は育児休業終了日、育児休業終了予定日が1歳2カ月に達する日である場合は1歳2カ月に達する日)が2025年4月1日以降である延長申請が対象となります。
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★2022年度の派遣労働者数2.6%増加
厚生労働省は2022年度「労働者派遣事業報告書」集計結果(速報)を公表しました。派遣労働者数は約215万人(対前年度比2.6%増)、無期雇用派遣労働者数は82万8,638人(同6.8%増)、有期雇用派遣労働者数は131万7,815人(同0.1%増)。8時間換算・平均での派遣料金2万4,909円(同1.8%増)、派遣労働者の賃金は1万5,968円(同1.7%増)でした。
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★「DX支援ガイダンス」を策定
経済産業省は「DX支援ガイダンス:デジタル化から始める中堅・中小企業等の伴走支援アプローチ」と別冊事例集を公表しました。「支援機関を通じた中堅・中小企業等のDX支援の在り方に関する検討会」の議論をまとめたものです。DX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組んでいる中小企業の労働生産性や売上高は向上しており、DXの取組は必要不可欠とする一方、人材・資金不足等から中小企業が独力でDXを推進することは難しく、地域の伴走役たる支援機関によるDX支援が有効として、支援機関が中堅・中小企業等へのDX支援の際に考慮すべき事項について解説しています。
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★子どもを産み育てたいと思える理想的な労働時間
働き方改革コンサルティング事業のワーク・ライフバランスは3月22日、2024年1月に実施した「第5回働き方改革に関するアンケート」調査結果を発表しました。「子どもを産み育てたい(さらに持ちたい、を含む)」と思える理想的な労働時間(理想の労働時間別の、追加でほしい子供の人数)は1日「5時間以上〜7時間未満」で、5時間未満、または7時間以上の場合、追加でほしいと考える人はより少なくなっています。 「管理職になりたいと思えるようになるために必要と考えるもの」について、30代以下・女性の1位は「労働時間が1日6時間程度」で、すべての性別・年代での1位は「適切な評価がある」(女性:53.6%、男性:57.4%)となっています。
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★厚生労働省関係の主な制度変更について
厚生労働省では、年度の始めや半ばに、同省関係の主な制度変更を表にまとめて公表しています。この度、「令和6年4月からの厚生労働省関係の主な制度変更」が公表されました。特に、雇用・労働関係の変更には注意が必要です。重要なものには、次のようなものがあります(抜粋)。
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★定額減税特設サイト「年末調整計算シート」などを掲載
国税庁では、令和6年分の所得税に対して実施される定額減税について、特設サイトを開設し、パンフレットやQ&Aなどを公表しています。そのサイトにおいて、「年末調整計算シート(令和6年用)」、「各人別控除事績簿(Excel/19KB)」が公表されました。
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★「デジタルガバナンス・コード実践の手引2.1」を公表
経済産業省から、「中堅・中小企業等向け『デジタルガバナンス・コード』実践の手引き2.1」が公表されました。DX(デジタルトランスフォーメーション)って何?という方から、自社では何から取り組めばよいか分からないという方までに向けて、全国のDX実践企業13の事例の紹介やDXの進め方を4ステップで解説したものです。またDX成功に向けた6つのポイントを記載しています。
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★育介法等の改正法案、国会に提出
「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び次世代育成支援対策推進法の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。これ受けて、厚生労働省は、同改正法案を国会に提出しました。この改正法案により、男女ともに仕事と育児・介護を両立できるようにするため、子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充、育児休業の取得状況の公表義務の対象拡大や次世代育成支援対策の推進・強化、介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化等の措置を講ずることとしています。
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★「令和6年分所得税の定額減税Q&A」を更新
国税庁では、令和6年分の所得税に対して実施される定額減税について、特設サイトを開設し、パンフレットやQ&Aなどを公表しています。そのサイトにおいて、新着情報が随時公表されており、「令和6年分所得税の定額減税Q&A」を更新したとのお知らせがありました。このQ&Aでは、さまざまなケースの取り扱いが取り上げられていますので、減税事務を行う際にお役立てください。
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★「両立支援等助成金」と「人材確保等支援助成金」の見直し案
令和6年3月12日に開催された「第68回 労働政策審議会雇用環境・均等分科会」において、「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱」の諮問が行われました。雇用保険法等に基づく各種助成金について、令和6年度分に係る制度の見直しや新設等が行われる予定ですが、雇用環境・均等分科会では、そのうち、「両立支援等助成金」と「人材確保等支援助成金」の見直しを担当しています。今回の雇用環境・均等分科会の資料には、その内容を分かりやすく説明したものが含まれています。
■====== 4; 広報・リーフレット ============
見出しの赤い文字をクリックして関連資料をご覧ください
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◆キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)
すべて、または一部の有期契約労働者等の基本給の賃金規定等を3%以上増額改定し、昇給させた事業主に対して助成されます。
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不妊治療と仕事との両立ハンドブック
働きながら不妊治療を受ける方は増加傾向にあると考えられますが、不妊治療と仕事との両立ができず11%の方が離職しています。 このハンドブックでは、職場内で不妊治療への理解を深めるために、不妊治療の内容や職場での配慮のポイントなどが紹介されています。
■====== 5; お役立ちアンサー ===========
退職直前の年次有給休暇請求
退職が決まっている従業員にまとめて年次有給休暇を請求された場合、原則的には、断ることはできません。従業員には、年次有給休暇の権利として「時季指定権」があります。年次有給休暇の使用目的に関しては従業員の自由であり、また、使用者が承認しなくても従業員が指定した時季に年次有給休暇を取ることができます。しかし、使用者側は、年次有給休暇の「時季変更権」を有しています。「時季変更権」とは、事業の正常な運営を妨げるような場合に限り時季を変更できる権利のことです。『事業の正常な運営を妨げる場合』とは、単なる主観的な判断ではなく、その会社の規模、職場の配置、業務内容、代行者の配置の難易等の事情を考慮して合理的に判断する必要があります。単に仕事が忙しいとの理由では変更できません。退職時に残っている年次有給休暇を一括して請求された場合ですが、たとえ『事業の正常な運営を妨げる場合』に該当したとしても、退職日が決まっており時季を変更する余地がありませんので拒否できません。業務の引き継ぎ等でどうしても働いてもらう必要がある場合は、従業員と話し合って退職日を変更してもらう、若しくは退職によって消滅した分の有給休暇の権利を買い上げることで理解をしてもらうことになります。だだし、消滅した分の年次有給休暇を買い上げることについては違法ではありませんが、年次有給休暇の取得を抑制する効果をもつようになりますので、年次有給休暇の計画付与を実施するなど、年次有給休暇を消化させるような手段を講じる工夫をしましょう。
石川県 の 社会保険労務士 丹保から No.214
posted by 丹保社労士事務所 at 2024年04月24日
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