石川県 の 社会保険労務士 丹保から No.218
能登の地震から8か月になります。能登では全てが歪んで見えるという労働組合書記長の話を聞き、被災地に住む知人から小松の町は自分たちと別世界と言われ、それでも「ウチは大丈夫」、屋根がある、電気が来る、水道が通った、そんな言葉を思い出しながら能登半島の先端の珠洲まで走りました。小型重機と仮設トイレが目立つ町から見る内浦の海はいつも以上に明るく静かでした。
■目次 >>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
1<<<<< ワンポイントクイズ
;会社法の利益処分と役員賞与
2<<<<< 今月のお知らせ
;外国人材活用活躍セミナー
;シンポジウム“ウェルビーイング経営”
;震災と両立支援と将棋をテーマに第75回研究会
3<<<<< 気になるニュース
;骨太の方針2024「労働条件に関係する部分」
;令和6年度の地域別最低賃金の目安
;長時間労働が疑われる事業場への監督指導
;障害者のテレワーク雇用を推進する相談窓口
;仕事より余暇を重視する割合が年々増加
;貨物軽自動車運送事業安全管理者の選任義務化へ
;解雇等無効判決後に職場復帰する労働者
;令和7年「65歳雇用確保義務化」認知度は約6割
;男性育休初の30%超え令和5年度雇用均等調査
4<<<<< 広報・リーフレット
;両立支援等助成金(柔軟な働き方選択制度等支援コース)
;中小企業子ども・子育て支援環境整備助成
5<<<<< お役立ちアンサー
■====== 1; ワンポイントクイズ ===========
Q:会社法の利益処分と役員賞与とは?
A: (答えは巻末をご覧下さい)
■====== 2; 今月のお知らせ ============
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●外国人材活用活躍セミナー
2024年6月、これまでの「技能実習制度」から、新たに「育成就労制度」となる法改正が行われました。本セミナーでは、「技能実習制度」と「育成就労制度」の違い、「育成就労制度」の受け入れ業種、関係機関の在り方などを中心とした制度概要をわかりやすく丁寧にお伝えいたします。近年、人材不足が深刻化する中、外国人材の活用・活躍がその解決の1つとされており、事業を継続していくうえでも参考になると思います。是非ご参加下さい。
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●シンポジウム“ウェルビーイング経営”
昨今注目を集めるウェルビーイング経営のあり方について、学識、実践、そして投資の観点から討議し、より実践に資するウェルビーイング経営像を明らかにすします。オンライン、参加費無料。
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●「震災」と「両立支援」と「将棋」をテーマに第75回研究会
石川中央労務研究会第75回研究会のご案内
件 名 石川中央労務研究会第75回業務研究会
日 時 令和6年9月28日(土)午後1時30分から
場 所 白山市松任コミュニティセンター
テーマ 「震災から考える各地域の現状と改善」東哲也
「治療と仕事の両立支援の現状について」亀田真紀
「将棋の魅力〜元育成会員の経験を添えて〜」平家慈美
定 員 15人程度まで (先着順)
参加費 無料(申し込みは必要です)
■====== 3; 気になるニュース ===========
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★骨太の方針2024「労働条件に関係する部分」
厚生労働省から、第192回労働政策審議会労働条件分科会の資料が公表されました。今回の主な議題は、「経済財政運営と改革の基本方針2024」等についてと「事業性融資の推進等に関する法律」の成立についてであり、それらの関連資料が公表されています。「経済財政運営と改革の基本方針2024」等についての資料では、「経済財政運営と改革の基本方針2024」、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2024改訂版」及び規制改革実施計画における「労働条件分科会に関係する部分」が抜粋して紹介されています。
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★令和6年度の地域別最低賃金の目安
「第69回中央最低賃金審議会」で、令和6年度の地域別最低賃金額改定の目安について、答申の取りまとめが行われ、その内容が厚生労働省から公表されました。今後のスケジュールとしては、各地方最低賃金審議会での審議を経て、最終的に各都道府県労働局長が地域別最低賃金額を決定する予定です。これにより、地域ごとの経済状況に応じた適切な最低賃金が設定されることが期待されます。
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★長時間労働が疑われる事業場への監督指導
厚生労働省は、令和5年度における長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導の結果を発表しました。この発表は、労働基準監督署が実施した監督指導の結果を取りまとめたもので、長時間労働の是正に向けた取り組みの一環として行われました。厚生労働省は、長時間労働の是正に向けた取り組みを今後も積極的に行うとともに、11月の「過重労働解消キャンペーン」期間中に重点的な監督指導を実施する予定です。
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★障害者のテレワーク雇用を推進する相談窓口
新型コロナウイルスの影響で、テレワークが一般的になりつつあります。しかし、障害を持つ人々がテレワークを行う際には、特別な配慮や支援が必要となる場合があります。この問題に対応するため、新たな取り組みが始まっています。厚生労働省は、ICTを活用した障害者のテレワーク雇用を推進するため、個別具体的な課題の解決に向けたサポートを行う企業向け相談窓口を開設しました。
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★仕事より余暇を重視する割合が年々増加
日本生産性本部が「レジャー白書2024」(速報版)を公表しました。この調査により、仕事よりも余暇を重視する人々の割合が年々増加していることが明らかになりました。特に「仕事よりも余暇の中に生きがいを求める」と回答した人の割合が2021年以降増加しており、2023年には回答者の34.1%がこのように答えています。企業には、上記のような働く人の意識の変化に対応することが求められます。
すなわち、従業員のワークライフバランスを尊重し、柔軟な働き方を推進することで、従業員の満足度や生産性の向上が期待できます。具体的には、以下のような取組みが考えられます。
1.フレックスタイム制度の導入
2.リモートワークの推進
3.有給休暇や特別休暇の取得促進
このほかにも、余暇活動として人気の高い国内観光旅行に行きやすくなるような福利厚生の導入なども考えられます。
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★貨物軽自動車運送事業安全管理者の選任義務化へ
国土交通省は、「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律(改正物流法)」の施行を受け、貨物軽自動車運送事業に対する新規制の案をまとめました。
1.貨物軽自動車安全管理者の選任と講習受講の義務付け
2.業務記録の作成・保存の義務付け
3.事故記録の保存の義務付け
4.国土交通大臣への事故報告の義務付け
5.特定の運転者への指導・監督及び適性診断の義務付け
2025年度から1〜5の規制が適用されるにもかかわらず、周知が進んでいるとはいえません。関係する事業者には、講習を受講する準備や記録の見直し等が求められます。
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★解雇等無効判決後に職場復帰する労働者
労働問題を専門とする日本労働弁護団、経営法曹会議ほか、労働問題に詳しい弁護士を対象に行われた調査の結果、解雇・雇止め訴訟の判決において解雇等が無効とされた場合の復職割合は次のようになっています。
・復職した 37.4%
(うち復職後継続就業 30.3%、復職後不本意退職 7.1%)
・復職せず 54.5%
・不明 8.1%
復職しなかった理由としては、復職後の人間関係に懸念があるとした人の割合が38.9%と最多でした。また、復職後に不本意退職となった労働者の退職理由では、「使用者からの嫌がらせ」(16.2%)が最多でした。
一方、判決で終局した事案で、判決までの過程で裁判所から示された和解案を拒絶したのは86.5%に上っており、労働者側の拒絶理由は、「合意退職の和解案だったが、労働者が復職を希望」(34.7%)、「合意退職の和解案だったが、解決金額が低かった」(30.6%)、「合意退職の和解案だったが、解雇無効を確信」(22.3%)となっています。
また、使用者側の拒絶理由は、「合意退職の和解案だったが、使用者が金銭支払を希望せず」(19.4%)、「地位確認の和解案だったが、使用者が復職を希望せず」(15.3%)、「合意退職の和解案だったが、解決金額が高かった」(13.9%)となっています。
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★令和7年施行の「65歳までの雇用確保の義務化」認知度は約6割
高年齢者雇用安定法による65歳までの雇用確保義務の経過措置は2025年3月に終了します。2025年4月からは、65歳までの「定年引上げ」「継続雇用制度の導入」「定年廃止」のいずれかの雇用確保措置が全企業の義務になります。
エン・ジャパン株式会社は、運営するミドル世代のための転職サイト『ミドルの転職』で35歳以上のユーザーを対象に「65歳までの雇用確保の義務化」についてアンケートを実施し結果を公表しました。「65歳までの雇用確保の義務化」認知度は約6割、「70歳までの努力義務化」は約5割、「65歳・70歳までの雇用確保」に賛成「61歳以降も働きたい」は約9割、半数以上が「高年齢者雇用確保」の措置が転職先選びに影響すると回答し、どの「高年齢者雇用確保」の措置を講じている企業に転職したいかの質問には「定年の引上げ」が34%で最多となっています。
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★男性育休初の30%超え「令和5年度雇用均等基本調査」
厚生労働省は、「令和5年度雇用均等基本調査」の結果(従業員5人以上の3,495事業所から回答)を公表しました。この中から、男性の育児休業の取得状況についてみると、昨年度の男性の育児休業取得率(産後パパ育休を含む)は30.1%で、令和3年度より13ポイント増えて過去最高を更新しました(女性は、84.1%(令和3年度より3.9ポイント増))。
同省は、取得率が30%に達した理由として、令和4年の育児介護休業法の改正により取得意向の確認が義務付けられたことや、中小企業に様々な政策を打ち出し、制度が周知されたことなどを挙げています。政府は、男性の育児休業取得率を令和7(2025)年までに50%に上げることを目標に掲げています。
取得率を向上させる施策として、来年4月からの育児介護休業法の改正により、従業員が300人超1,000人以下の企業にも取得率の公表が義務付けられるようになります。また、従業員数100人超の事業主に対して、行動計画策定時に育児休業の取得状況等に係る状況把握および数値目標の設定が新たに義務付けられるようになります。
■====== 4; 広報・リーフレット ===========
見出しの赤い文字をクリックして関連資料をご覧ください
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◆両立支援等助成金(柔軟な働き方選択制度等支援コース)
育児期の柔軟な働き方に関する制度等を導入した上で、「育児に係る柔軟な働き方支援プラン」により制度利用者を支援した中小企業に助成されます。
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◆中小企業子ども・子育て支援環境整備助成
「新子育て安心プラン」の支援策の一つとして、「くるみん認定・くるみんプラス認定」「プラチナくるみん認定・プラチナくるみんプラス認定」を受けた中小事業主に対し、助成金が支給されます。
実施期間:令和3年10月1日〜令和9年3月末まで
助成額 :上限50万円/事業主
■====== 5; お役立ちアンサー ===========
会社法の利益処分と役員賞与
旧商法では、利益処分(または損失処理)案により定時株主総会で承認決議されてきた内容は、会社法では、株式会社はいつでも株主総会決議によって剰余金の配当や損失処理を決定することができるようになったため特に規定は設けられませんでした。役員賞与については、指名委員会等設置会社以外の株式会社の財産上の利益を与える方法として、会計処理のあり方に係らず、利益処分に関する手続とは別に株主総会で承認決議が必要となりました。
(1)利益処分・損失処理の柔軟化
会社法では、株式会社は、いつでも株主総会決議によって剰余金の配当や損失処理を決定することができるようになりました。また、取締役会を設置する株式会社では、これまでと同じように、中間配当(1 事業年度の途中で1 回だけ取締役の決議で剰余金の配当をすること)ができる旨を定款で定めることができます。
(2)取締役会決議による剰余金の分配
会計監査人を設置する会社では、剰余金の分配を取締役会の決議によって決定することができる旨を定款に定めることができます。そして、この場合、剰余金分配について「株主総会の決議によっては定めない旨」を定款に定めることができます。以上のような定款規定が効力をもつためには、最終事業年度における計算書類が法令・定款に従って会社の財産・損益の状況を正確に表示している必要があります。
(3)役員賞与の決議
役員賞与も職務執行の対価ですから「報酬」に含まれますが、利益処分の性質をもつものとされます。会社法では、役員賞与についても、職務執行の対価として会社から受ける財産上の利益にあたるので、報酬についての株主総会決議とは別に、利益処分の手続として株主総会決議または定款によって定められなければならないとしています。
石川県 の 社会保険労務士 丹保から No.218
posted by 丹保社労士事務所 at 2024年08月20日
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